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ゲストの心を満たす高級旅館
御宿かわせみ(福島市)

2011.10.30 トラベル, 生活,
ゲストとのコミュニケーションを第一に考えたおもてなしに、細部にまでこだわった料理。福島県随一の高級旅館として知られる「御宿かわせみ」は、全国各地の人々から愛されている。
取材/文:田口元義 写真提供:御宿かわせみ

自動車では、東京から東北自動車道経由、福島飯坂I.Cまで約3時間。電車では、東京から東北新幹線で約1時間30分。JR福島駅経由、福島交通飯坂線飯坂温泉駅下車。駅から送迎あり

 飯坂温泉の中心地から少し離れた翡翠の里。かわせみが生息する摺上川に面した敷地内のプロムナードを通り抜けると、数寄屋造り御宿かわせみが優しく出迎えてくれる。
 辺りを見渡すまでもなく、そこには自然の息吹が感じ取れる。春には桜に梅、柔らかな光を生み出す新緑も美しい。初夏のアジサイにつつじ、菖蒲と夏の花は清涼感を与えてくれる。秋には穏やかな色彩を放つ紅葉が一面を覆う。そして冬は椿。厳しい寒さのなか逞しく咲き誇る様に、つい目を奪われる。四季折々の植物たちのおもてなし。これが、御宿かわせみの最初のサービスだ。

12帖を含む3室と古代檜風呂、露天風呂が用意された1階の特別室「侘助」

 3000坪の敷地に設えてある客室はわずか12。数寄屋風に施された離れから露天風呂、屋上庭園が用意されたものまで、それぞれの趣が堪能できる。客室風呂や大浴場に流れる温泉はもとより、世界中の贅沢な食材を用いての料理、そして細部に至るまで徹底した接客……。御宿かわせみは、東北有数の高級旅館として幅広い年代に愛されている。
 愛される理由。それは、最初から「高級」を用意しているのではなく、それを今も作り上げているところにある。
 1996年5月の創業当時から、御宿かわせみは高級だった。1泊1名37,000円から。福島市内の旅館としては破格である。しかも、現在では温泉はあるが、当時は地下から天然水を沸かし浴室へひいていた。何よりも天然の湯を心待ちにしているゲストが多いことから、不安材料になりかねない。だからこそ、あえてそのことを強調した。
「お客様にとって、確かに温泉は魅力です。しかし、それはひとつのサービスでしかありません。私たちはすべてのおもてなしを通じて、『御宿かわせみ』にしか表現することができない高級を皆様にお届けしたいのです」
 フロント主任を務める諸岡香織は、そう答える。御宿かわせみにしかできないおもてなし。そこにはふたつの大きな柱がある。

1階の離れ「海棠」に設えてある露天風呂。泉質は弱アルカリ性単純温泉で、神経痛や筋肉痛などの効能がある

 ひとつはきめ細やかな接客。創業に際し、仲居は経験者ではなく未経験に近い人材を選んだ。その真意は、「御宿かわせみ流の接客をゼロから身につけてほしい」からだった。
 まず、ゲストが到着する時間をスタッフ全員が明確に把握し、「ゲスト」としてではなく「個人」として出迎える。客室を担当する仲居は原則1室1名とし、人との触れ合いを何よりも重んじる。浴衣は目で採寸し、体格に適したものを用意。その他、料理の好みはもちろんのこと、魚や肉の脂身まで気を配るなど、おもてなしの細かさを挙げたらきりがない。
「料金形態は客室などによって異なりますが、私どもとしては皆様がVIPなのです。金額の大小ではなく、当宿に来てくださった全ての方に分け隔てなくサービスをする。高級旅館の根底はここにあると感じます」
 支配人の茨木敏夫は、細部にまで行き届いた接客についてそう説明する。そして、さらにこうも付け加えた。
「それを可能にしているのは東北人の気質だと思います。雰囲気に素朴さがあり、何事も一生懸命に取り組む。お客様が安心してお寛ぎいただけるのは、そういった要素も働いているのかもしれませんね」

2011年11月の吟味特選「のどぐろとタラバ蟹の極上白子グラタン」。10月は「松茸プラン」を用意

 そして、御宿かわせみのもうひとつの大きな柱が料理だ。支配人が「かわせみの料理はステータスでもあります」と言うように、季節ごとのメニューを写真に収め、手書きの送り状と共にゲストへ案内する。
 この時期であれば、10月は繊維の1本1本まで出汁を染み込ませたフカヒレに、香ばしく焼き上げたフレッシュ・ポルチーニ。フォアグラのコクと旨味を存分に引き出した「ふかひれとフレッシュ・ポルチーニのフォアグラスープ煮」。11月は、結晶塩をまぶし焼き上げた高級魚のノドグロにタラバガニと白子を合わせた、「のどぐろとタラバ蟹の極上白子グラタン」が提供される。
 料理のみならず器にもこだわり、陶磁器やガラスなど、その一品が最も映えるものを厳選する。料理はまず、鑑賞して楽しむ——。御宿かわせみの料理は、“五感”全てで満足してもらえるよう労を尽くしてあるのだ。
 旅館全体として100%のサービスはできないかもしれない。だが、ゲスト個人ならばそれができる。16年間、その意識が一貫されているからこそ、宣伝をせずとも口伝で評判が広まり、御宿かわせみは高級旅館として親しまれるようになったのだ。
 支配人の茨木は、おもてなしの根幹を改めて述べてくれた。
「大事にしていることは人的なサービス。自分たちがおもてなしする以上、自分たちが旅館を作り上げなくてはいけません。だからこそ、私たちは業者に頼らず、従業員全員が館内の掃除をし、接客にも従事するのです」
 エントランス前の石畳をほうきで丹念に磨き、ゲストが到着すると一旦手を止め、支配人自ら笑顔で出迎えてくれる。
 一人ひとりが“創り上げる”高級旅館。東北の、福島が届ける至上のおもてなしが、御宿かわせみにはある。

御宿かわせみ 福島県飯坂温泉翡翠の里2-14 TEL:024-543-1111 チェック・イン/アウト:14:00/11:00 宿泊料金:37,000〜(1泊2名利用時の1人あたりの料金。税金、サービス料込。別途入湯税150円)

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