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日本人が愛する名曲を愉しむ
古関裕而記念館(福島市)

2012.8.16 スポーツ, 音楽
甲子園を彩る「栄冠は君に輝く」に旅情を掻き立てる「高原列車は行く」、神秘的な旋律の「モスラの歌」……。記念館では名作曲家・古関裕而の全てを知ることができる
取材・文:田口元義 写真:古関裕而記念館

 JR福島駅の新幹線のホームでは、『栄冠は君に輝く』のメロディーが鳴り響く。在来線のホームでは、岡本敦郎の名曲『高原列車は行く』の軽快な旋律が往年のファンの郷愁を誘う。
 作曲をしたのは、福島市出身で名作曲家として知られる古関裕而。2009年、生誕100周年を記念し、県民にアンケートを実施した結果、この2曲が選ばれたという。

記念館は、パイプオルガンなど設備が整った福島市音楽堂と隣接している

 古関の作風は実に幅広い。
 読売巨人軍の『闘魂込めて』に阪神タイガースの『六甲おろし』、早稲田大学の『紺碧の空』、慶應義塾大学の『我ぞ覇者』。そして、東京五輪の『オリンピックマーチ』に札幌五輪の『純白の大地』など、スポーツの名曲を連想する者も多いだろう。
 その他にも、森光子主演の長寿作品『放浪記』をはじめ、『敦煌』、『蒼き狼』を代表するように舞台音楽の世界でも名を馳せ、NHK連続ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌『とんがり帽子』やザ・ピーナッツの美声で一世を風靡した『モスラの歌』も手掛けた。
 メジャーな作品以外でいえば校歌の作曲でも有名だ。福島県内102校をはじめ、北海道から九州まで、福島県出身の古関が提供した校歌は数百にまで上る。
 総作曲数は約5000。多くの名曲を発信し続けることで、古関は日本のみならず世界からも認められるようになり、1979年には福島市の「名誉市民第1号」となった。

サロンでは年に1度、企画展を開催。2012年は「霧島昇と古関裕而展」(8/4~9/9まで)

1987年に「市政80周年」を記念して建てられた古関裕而記念館には、福島が世界に誇る古関へのオマージュが様々な形で込められている。
『とんがり帽子』を想起させる塔を屋根に設えた瀟洒な外観。メタセコイアの木々に囲まれるように悠然と構えるその様は、音楽をゆったりと聞くには最適な場所だ。
 エントランスを潜り抜けると、古関が愛用したハモンド・オルガンなどが展示されている広々としたサロンが来訪者を出迎える。ここでは、定期的に演奏会も開催され、若い音楽家たちがその腕をゲストに披露する。
 螺旋状の階段を伝い2階へ進めば、写真パネルや楽譜、直筆の色紙と、約6000点もの展示物から古関の作品を詳細に知ることが可能だ。また、古関が創作活動を行っていた和室が記念室として再現されているほか、代表的な100曲が聞ける視聴・ビデオコーナーでは古関の生涯を体感することもできる。
「古関先生をご存じの方はもちろん、名前を知らなくても曲が好きで当館に来てくれる方も多いんですよ」

2階の展示室では古関裕而の生涯が写真やパネルで細かく紹介されている

 そう話すのは、藤田修一館長だ。
「当館は、記念館、博物館、観光施設としての役割はもちろん、古関先生の曲を通じて音楽普及をしていく場でもあるんです。スポーツや舞台、クラシックと様々なジャンルを通じて、先生の明るく、健康的な作風を感じ取っていただきたいですし、『モスラの歌』は海外音楽からインスピレーションされ作られた。『オリンピックマーチ』は『自分の道を貫き通せ』といったように、作品から先生のメッセージを受け取ってもらいたいんです」
 訪れる人の半数以上が県外からの観光客。桜や紅葉がピークの季節に温泉旅行を兼ねて記念館も見学に来る客が多いそうだが、なかには大学の応援団や熱狂的な阪神ファン、『長崎の鐘』など、作曲したゆかりの地から「古関メロディー」を聞きにくる者も少なくない。
 福島が生んだ名作曲家をもっと世間に知ってもらいたい――。そういう思いは当然、記念館にはある。だが、それを客に押し付けるようなことはない。
 藤田館長は言う。
「古関先生は戦前、戦後に活躍された作曲家ですから、今の若い世代が先生の名前を知らないのは仕方がないことでしょう。大事なのは、古関先生の曲を知ってくれていることなんです。『栄冠は君に輝く』や『六甲おろし』ならスポーツファン、『高原列車は行く』なら歌が好き。『あの曲は古関裕而という人が作曲したんだ。その記念館が福島にある。じゃあ、行ってみようかな』。それでいいと思います。興味を抱ける作品が必ずありますから、若い世代の方たちには『好きな曲を聞きたい』くらい気軽な気持ちで来ていただければ当館としては充分です」
 興味とは教養を深める第一歩。肩ひじ張らず、自分の好きな「古関メロディー」に耳を傾ける。それが、音楽界、ひいては福島の発展へと繋がっていくのかもしれない。

楽譜はもちろん、古関裕而が作曲したレコードやジャケットも数多く展示されている

住所:福島県福島市入江町1-1
電話:024-531-3012
開館時間:9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:12/29~1/3 ※臨時休館の場合あり
交通:【車】東京方面から/東北自動車道「福島西IC」から国道115号、4号経由で約20分。仙台方面から/東北自動車道「飯坂IC」から国道13号、4号経由で約19分
【電車】JR福島駅東口バス乗り場「保原、梁川、藤田、桑折方面」から乗車、「日赤病院前」下車、徒歩3分
入場料金:無料
URL:http://www.kosekiyuji-kinenkan.jp

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