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福島からJリーグを目指すサッカークラブ
福島ユナイテッド(福島市)

2011.8.10 スポーツ
福島市を拠点に活動する福島ユナイテッド。県外出身者が大半を閉めながらも、福島を活性化させるためにクラブの地域密着化に尽力し、Jリーグ入りを目指す。
取材・文:田口元義 写真:本田 謙
福島ユナイテッド

メインの練習場となる福島市の十六沼公園で日々トレーニングに励む選手たち。実戦形式では監督自ら練習に加わり指示を送る

勝つたびに、じわり、またじわりと福島の結束力が強まっていく。
開幕戦で秋田FCカンビアーレに3対1で勝利すると、第4節の塩釜FCヴィーゼには10対0で大勝。第6節が終了した時点で無敗。2位に勝ち点6の差をつけて、福島ユナイテッドは首位をひた走る。
だが、福島県民以外でこの快進撃を知る者はほとんどいない。
福島ユナイテッドが戦う舞台は東北社会人1部サッカーリーグ。J1を頂点とするヒエラルキーでいえば、J2の下のJFLのそのまた下に属する地域リーグに位置することから、全国的な認知度は皆無と言っていい。
それは、クラブに関わる全ての人間が理解している。しかし、福島ユナイテッドは、繭から飛び出そうとしている蝶のように、福島から全国に羽ばたこうとする力を、今まさに蓄えている最中なのだ。
「僕も子供のころは『プロスポーツなんてできっこない』と思っていましたけど、今やサッカーも野球もプロチームがありますからね。福島だって変わりますよ」
J1ベガルタ仙台のマーケティングを経て、2010年の年末から福島ユナイテッドの運営本部長を務める、仙台市出身の鈴木英寿は、そう自信を覗かせる。
クラブチームの結成は02年。「福島からJリーグのチームを」と「福島夢集団」を設立し、04年に福島夢集団ユンカースが誕生。福島県社会人リーグ3部から順当に昇格し、08年に現在の福島ユナイテッドとして新たなスタートを切った。

福島ユナイテッド

昨年から指揮を執る手塚聡監督。実績のある指揮官を向かい入れたことで、クラブの士気は格段に高まっている

クラブの歴史は浅い。しかし、鈴木の言葉は決して誇張などではないことを、主将の青柳雅信の言葉が物語っている。
「僕は福岡の出身ですが、福島ユナイテッドを全国に広めようという想いで必死にプレーしていると、地元のサポーターの方が『福島の人じゃないのに頑張ってくれてありがとう』と言ってくれる。今の自分たちにとって、何より励みになる言葉ですよね」
青柳は、高校卒業後に湘南ベルマーレに入団し、ガイナーレ鳥取を経て福島ユナイテッドに移籍してきた。
Jリーグのクラブから地域クラブへ。凋落ともとれる現実に直面すれば、誰だって気落ちはするだろう。しかし、青柳は違った。
「鳥取を離れるとき、サッカーを辞めようと思っていたんです。それまでは、トレーニングが終わってからはボーっとしたり、ただ不毛な時間を過ごしてばかりで(苦笑)、今思えば、サッカーと真剣に向き合えていなかったんです。でも福島に来てからは、地域の方たちをはじめいろんな方と話し、サッカーをしていくことで成長することができました」
青柳をはじめ数名の選手は、ラブが運営するスクールで少年たちにサッカーを教えることで生計を立てられる。しかし、ほとんどの選手は、サッカーとアルバイトの二足の草鞋を履いて生活している。

福島ユナイテッド

「福島に来てから大きく成長することができた」と語る主将の青柳雅信は、ディフェンダーとしてチームの最終ラインを統率する

だが、選手全員のモチベーションは高い。それは、「福島にJリーグクラブを作る」という使命感からきていることは間違いないが、付け加えるならば、それが現実味を帯びてきているからでもある。
最たる要因は指揮官。10年からクラブの監督となった手塚聡の存在が大きい。
手塚は、ファジアーノ岡山時代、当時、地域リーグだったクラブをわずか2年でJ2にまで昇格させた監督だ。福島ユナイテッドの士気が高まるのも当然だろう。指揮官自身、クラブチームの底力に期待を寄せている。
「09年の天皇杯でセレッソ大阪に勝ったイメージが強かったですが、実際にチームに来ても力はあると感じました。今年もある程度、満足できるチーム編成ができたんですが、震災が起きてしまってね……」
震災——。当然のように、福島ユナイテッドにも東日本大震災の余波は襲っていた。練習も満足にできず、リーグも開幕するか分からない。そんななか、数名の選手がチームを離れていった。
だが、残った人間のほうが多い。
「選手が離れる理由も分かります。ですが、『Jリーグを目指して頑張ろう』とより結束力を高められたこともまた事実。今こそ、クラブ、地域、行政がひとつとなり、戦っていかなければなりません」
鈴木、青柳、手塚。ほとんどの人間が福島県外の出身者である。
彼らが、福島を変えてくれるのだ。
鈴木は言う。
「県内各地にあるスクールに通う子供の親御さんにアンケートをとっても、ほとんどが『スクールを、サッカーを続けてほしい』と言ってくださる。福島ユナイテッドが戦うことは、今や福島の使命だと思っています」
青柳にも揺るぎない覚悟がある。
「僕は福島にすごく感謝しています。Jリーグに上がることは大前提ですけど、クビと言われるまでこのクラブに尽くしたい」
サッカーを通じて生まれる福島の結束(ユナイテッド)。
「スポーツが世界を変える」という言葉があるが、今の福島にはまさに、スポーツの力が必要なのだ。

福島ユナイテッド

東北社会人リーグ1部で首位を独走中の福島ユナイテッド。今年の最大の目標であるJFL昇格も現実味を帯びてきている

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